中国サプライヤーの工場に技術指導に行き、懇切丁寧に指導する日本人技術者は少なくありません。日本人技術者が帰国した後も指導の甲斐あって品質は維持されます。ところがある時点から再び品質が低下する、それも一気に低下するのです。多くの方が経験されていることだと思います。つまり指導を受けた管理者、作業者の離職と共に、技術(ノウハウ)もそのサプライヤーから離れていってしまうのです。日本の工場では、あってはならないことです。日本の生産工場では、基本的なノウハウは、マニュアル化やOJTを通じて伝承されます。だた、近年日本でも基本よりワンランク上のノウハウの喪失は問題となっています。日本では中国ほど人材の流動が激しくないため、ノウハウ伝承システムの欠如の問題が顕在化せず、より深刻な問題になったとき顕在化する危惧はあるでしょう。
なぜ、中国ではノウハウが伝承されないのか。その理由がノウハウを個人にクローズドする国民性であるとか、競争の激しい社会で個人が他者との差別化、プレミアム化を図る術と考えているためとか、様々な意見はありますが、結局のところ我々の力では、国民性や国民の思考を変えることはできません。やはり対処療法であっても、適切な対処を考えるべきなのです。
実作業(おもにブルーカラーの仕事)のノウハウは、広義のマニュアル化でそれに携わる作業者全員でノウハウを共有する、伝承する方法が推奨されていますが、私も賛成です。作業者が図面を見ながら作業する工程であれば、作業のノウハウを盛り込んだ図面に、つまり指導図を見て作業させるようにする。また、生産ラインでは、冶具や生産設備をノウハウに従った方法でないと作業できないように改造してしまうといったこともあるでしょう。作業のすべてをマニュアル化することは不可能ですが、可能な限り広義のマニュアル化を推進することで、かなりの部分の問題が解消するのではないでしょうか。
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